夜空のルーナ 1
遠い遠い昔 古代ローマの神殿には15人の神がいました
その中でも勇敢な戦士で戦いの神マーズと
美の神のヴィーナスを両親に持つその外見は
美しく、心は勇敢でしたが
いたずらが好きな神キューピッドは
恋の矢を放って遊んでいました
ある日キューピッドは神殿で、とても剣が達者な若者に出会いました
話をしてみれば心も美しく、外見は殊更に美しい男でした
黒髪で鼻筋は真っ直ぐで、瞳も夜空のように真っ黒で…その瞳の中には綺麗な星達が宿っていました
その若者と剣の腕が劣らないもう一人の男がいつも一緒にいました
茶色いくせ毛、茶色い大きな瞳を持ちとても恥ずかしがり屋だけど、一度仲良くなるととても親切で優しい心根の持ち主でした
二人は背も高く筋肉が発達して、剣の稽古をするとその美しい筋肉の躍動に 見物している者達からため息が漏れました
キューピッドは夕食の席で、両親によく二人の話題を出しました
父のマーズは剣の稽古で二人をよく知っていたので、キューピッドの言うことに間違いがないと…ローマの将来を背負う二人になるだろうと、妻のヴィーナスに嬉しそうに話しました
ヴィーナスはそれほどの魅力的な若者に一度お目にかかりたいと、夫に言いました
夫は今度神殿に遊びに来れば良いと言いました
ヴィーナスは翌日に神殿に遊びに行きました
そして噂の二人に会う事が出来ました
夫には申し訳ないけれど、二人の美しさに目を奪われてしまいました
夫は妻の浮気に敏感で、自分が戦いに行っている間に、時々妻が浮気をしているのを知っていたので、これ程の男達を前に嫉妬してしまいました
二人のどちらかに妻を寝取られては、勝ち目がないと内心冷や汗をかきました
息子のキューピッドをよんで、あの美しい男達が互いに惹かれ合うように矢を放つように言いました
母の浮気も、父の妬きもちも理解出来る
キューピッドは父の願いを叶える為に矢を放ちました
元々 仲の良かった二人は、胸に刺さった矢を抜いて大切に保管しました
その日から二人は愛し合いました
父は胸を撫で下ろしましたが、母はそんな父が許せず怒りました
そして二人の戦士を引き裂く事を考えました
Luna
